ウサギの飼い方

湘南獣医師会 田中儀範 監修

 

 

ウサギの体の特徴

 

① 口 ウサギの口は小さく、歯は前歯(門歯)と奥歯(臼歯)をあわせて28本あります。
すべての歯が一生涯伸び続ける常生歯です。
② 鼻 嗅覚はかなりよいです。鼻の上の皮膚で鼻の穴を閉じることができます。
③ 目 頭の側面に目があるので前を向いたままで後ろの方まで見えます。
これは外敵から身を守るのに役立っています。
④ 耳 垂れ耳と立ち耳のものがあります。また原始種のものほど耳が小さい傾向があります。
聴覚は優れており、体温の調節にも役立っています。
⑤ 前肢 飼いウサギは穴ウサギを改良して作られたので穴を掘るのに適しています。
⑥ 体毛  長毛種と短毛種があります。ウサギの毛は抜けやすい(外敵から逃れやすくするため)ので持つときにご注意ください。
⑦ 後肢 筋力がとても強く瞬発力があります。
このため上半身だけを上から押さえているときにウサギが暴れると、背骨が折れる可能性があるのでご注意ください。
⑧消化管 すべての草食動物は、植物の消化を助けるために胃や腸に特別なバクテリアを住まわせている。
ウサギは盲腸にこのバクテリアをたくさん持っている。

 

 

ウサギの抱き方

ウサギの骨はとても薄く、また後肢の筋肉が強力なため間違った扱いをすると骨折などのけがをするおそれがあります。

ウサギの抱き方には二通りの抱き方があります。
一つは、首の後ろの皮膚をしっかりつかみ持ち上げながらもう一方の手で後足を持って支える方法。
もう一つは、まず胸の下に手を入れ、脇の下あるいは前足まで手を移動して持ち上げます。
そしてもう一方の手で後足 を持って抱き上げます。(上図)

 

 

ウサギの食餌

 

ウサギは完全な草食動物です。したがって草だけでウサギに必要な栄養は基本的にすべてまかなえるはずです。
そしてまた、草のような繊維質に富んだ食餌を摂ることによって歯や消化管によりよい作用を及ぼします。

① ウサギの食餌は高繊維質の物でなければならない。

ウサギが食べているときの口(あご)の動きをみてみると、縦方向だけでなく横方向にも動かしているのがわかります。
この運動により植物の繊維をすりつぶしているのですが同時に奥歯(臼歯)もすり減らしているのです。
もしも簡単に砕けてしまうラビットフードや柔らかい野菜ばかり食べさせていると、この歯の摩耗が十分に起こらず不正咬合が起きやすくなってしまいます。
よってウサギには繊維質の多い牧草などを多く食べさせるべきであります。

② ウサギの食餌は低カルシウムの物でなければならない。

ウサギが本来食べているような草にはカルシウムはわずかしか含まれていません。そのためウサギは他の動物に比べてカルシウムを非常によく消化吸収します。
食餌中のカルシウムの量が多いとそのほとんどすべてを吸収してしいますが、体は成長期をのぞきそんなに多くのカルシウムを必要としません。
よって不必要なカルシウムを体外に排泄するのですが、ウサギはカルシウムを尿中に排泄します。

ウサギのおしっこが白っぽく濁っていることがあるのはこのためです。
たまに濁るのならば心配する必要はないですが、いつも濁っているようであればそれは明らかに食餌中のカルシウム量が多いはず。
この状態が続くと膀胱の中でカルシウムの結晶が固まり膀胱結石になってしまうので注意が必要です。
よって成長期のウサギ以外のウサギの食餌は低カルシウムであるべきです。

以上二点のことがウサギの食餌管理上重要なポイントです。

 

 

飼育環境

ほとんどのウサギは室内のケージで飼われていることが多いと思われますが、室内でも屋外でも飼育は可能です。

① 室内のケージで飼う場合

ウサギが複数いる場合は一羽ずつ別のケージで飼うべきです。そうでないとかなりひどいケンカをすることがあります。
ケージの床にスノコのついた物がありますが、スノコがあると掃除はしやすいのですが、隙間に足を挟んでけがをすることがとても多いので注意してください。

② 室内で放し飼いの場合

じゅうたんや畳では穴を掘ろうとしてひっかき、ボロボロにしてしまうかもしれません。またそれらを食べてしまうかもしれません。
電気のコード類もかじられると大変危険ですのでそれなりの防御対策が必要です。

③ 屋外で囲いの中で飼う場合

屋外飼育では室内よりも気候の影響を受けやすいもの。特に囲いの中にいる場合は自由に、適した場所に移動できないので暑さ寒さから逃れられるシェルターが必要になります。
また、地面の上に置いただけの囲いでは穴を掘って脱走してしまうのでその対策も必要になります。

④ 屋外で放し飼いの場合

この場合も穴を掘っての脱走には注意したいもの。毒のある植物、あるいは殺虫剤の付いた植物にも要注意。
また、外敵(犬・猫・アライグマ・鳶など)に襲われるかもしれません。